環境DNA分析とは?

– 環境DNA分析とは? –


 環境DNA(environmental DNA、eDNA)分析とは、水や空気、土壌などの環境中に含まれる生物のDNA断片を分析し、その地域にどのような生物が存在するのかを把握する技術です。
 生物が排出する体液、細胞、排泄物などのDNAが環境中に残されており、それを採取・分析することで、生物の分布や生物多様性を効率的に把握できます。

– 環境DNA分析手法 –

– 環境DNAが注目される理由 –

効率的な調査手法

環境への負荷が少ない

幅広い応用範囲

① 調査計画の立案(事前準備)

調査の目的についてヒアリング。分析方法や対象魚種を選定。
採水時期や採水地点を決定。

② 採水(現地調査)

計画した採水地点で、採水キットを使用し1Lの河川水を採取。
DNAの分解抑制剤(BAC;塩化ベンザルコニウム)を添加する。

③ サンプルの発送

採水した河川水を冷蔵にて当社環境DNA分析センターへ発送。

④ DNAの抽出と精製

ろ過装置を使用し、水中の環境DNAをフィルターに捕集。
DNA抽出キットを使用し、フィルターからDNAを抽出し、サンプルを保存。

⑤ DNAの増幅(PCR)

DNAを増幅するためのPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を実施。
複数種の生物を対象とする場合は「網羅的解析(メタバーコーディング)」を実施。
特定の生物種をターゲットにする場合は「種特異的解析(qPCR)」を実施。

⑥ シーケンシングとデータ解析(網羅的解析)、プローブ法によるDNAの定量(種特異的解析)

網羅的解析の場合
増幅したDNAの塩基配列を解析(次世代シーケンサーを使用)。
データベースと照合し、魚類相を特定。
調査地点ごとの魚類リストを作成。
種特異的解析の場合
プローブ法によりPCR中に発生した蛍光から対象種のDNAの量を定量。

⑦ 結果の解釈と報告

魚類の分布や変化を調査レポートとして報告。
希少種の生息確認、外来種の侵入状況などを分析。

⑧ 調査完了

環境DNA分析による調査は、生き物を直接捕獲せずに生態系の現状を把握できるため、
従来の生態調査よりも効率的かつ負担の少ない手法です。
また、広範囲の調査が可能であり、短期間で多地点のデータを取得できることから、
環境保全や水産資源管理、外来種対策など、さまざまな分野での活用が期待されます。

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